仮想通貨の損益計算ツールはなぜ必要?
仮想通貨取引で利益を得た場合、確定申告のために正確な損益計算が必要です。しかし、売買や交換、送金、ステーキング報酬など課税対象となる取引は多岐にわたり、複数の取引所やウォレットを利用していると取引履歴をまとめるだけでも困難です。手作業で計算するのはほぼ不可能なため、多くの人が自動で損益を集計できるツールを活用しています。
日本では幸い高性能な損益計算ツールがいくつか無料で利用可能です。この記事では、個人利用で人気の3つの仮想通貨損益計算ツール(CryptoLinC、Gtax、Cryptact)について、公式情報に基づき各サービスの特徴・料金・長所短所を比較レビューします。まず比較結果の概要を示し、その後各サービスの詳細を紹介していきます。
また、時間のない方は税理士による「無料税務診断」もおすすめです。
「計算はできたけど、申告内容が合ってるか不安…」など、少しでも不安があるという方は是非お試しください。
主要3ツールの比較まとめ
| ツール名 | 無料プランの上限 | 有料プラン例(年間) | 対応範囲・特徴概要 |
|---|---|---|---|
| CryptoLinC(クリプトリンク) | 取引件数100件/年まで※国内取引所のみ | 個人基本プラン: ¥3,960 (500件まで)※オプション最大¥26,000 (15万件まで) | 国内外80箇所以上の取引所に対応。DeFi取引やNFTの売買にも対応し、月額330円から利用可能な国内最安級。初心者でも使いやすい日本語UI。 |
| Gtax(ジータックス) | 取引件数100件/年まで | ミニマム: ¥5,500 (300件まで)ライト: ¥16,500 (1,000件まで)ベーシック: ¥33,000 (30,000件まで, DeFi/NFT対応) | 70以上の取引所・ウォレットに対応。マイニングやエアドロップなど複雑な取引も自動計算。税理士向け機能や詳細レポートも充実し、100以上の会計事務所で導入実績あり。 |
| Cryptact(クリプタクト) | 取引件数50件まで (超過すると損益表示なし) | ベーシック: ¥6,600 (300件まで)プライム: ¥22,000 (2,000件まで)プロ: ¥38,500~¥77,000 (10,000件~無制限) | 130以上の国内外取引所・24,000種以上の通貨に対応。DeFi・NFT・マイニング等あらゆる取引に対応し、価格データも1分刻みの高精度計算。プロ向けの豊富な機能と英語UIも完備。 |
比較ポイント: CryptoLinCは国内開発で初心者に優しく、無料で気軽に試せる反面、無料プランでは海外取引所データに非対応など制約があります。Gtaxは対応取引所数が多く税理士も利用する本格派で、複雑な取引や大規模データでも処理可能な反面、高度な機能を使い切るには有料プランが必要です。Cryptactは国内最大級の対応範囲とユーザー数を誇り、最も幅広い取引に対応しますが、無料で計算できる取引数は50件と少なめで、本格利用には課金が前提になります。
それでは、それぞれのサービスについて詳しく見ていきましょう。
CryptoLinC(クリプトリンク)の特徴と評価
CryptoLinC(クリプトリンク)は国内スタートアップのクリプトリンク株式会社が提供する仮想通貨損益計算ツールです。2017年創業以来、損益計算に特化して開発されており、個人ユーザー数万人・企業1000社以上に利用されています。国内唯一の特許取得済みサービスでもあり、信頼性の高さが伺えます。
主な特徴・メリット
- 基本利用は無料: メールアドレス登録だけで始められ、取引100件までは無料で損益計算書を作成可能です。無料でも年間の損益計算書を出力できるため、まずは試してみたい個人には敷居が低いです。
- 日本語UIと簡単操作: 開発元が日本企業のため画面表示やサポートがすべて日本語で、操作も直感的です。初心者でも迷わず使えるシンプル設計になっています。
- 対応範囲が広い: 国内外あわせて80以上の取引所に対応し、CSV取引履歴のアップロードによる自動集計が可能。主要な会計ソフト(弥生・freee等)へのデータ連携もサポートされています。さらにDeFi取引やNFTの売買にも対応しており、取引所外での運用も含めた損益計算ができます。
- 低コストで本格利用: 個人基本プランは年額3,960円(税込)と安価で、これにより取引500件まで登録データを保持しつつ海外取引所にも対応できます。月額換算330円で利用でき「国内最安級の低コストサービス」を謳っています。取引件数が多い場合もオプションプランで拡張可能で、最大15万件まで年額26,000円の範囲でカバーできます。
注意点・デメリット
- 無料プランの制約: 前述のとおりCryptoLinCは無料プランでも使えますが、年間100件までかつ国内取引所データのみの対応です。海外取引所の履歴を取り込むには有料プラン契約が必要なので、海外取引が多い方は注意してください。
- 高度な機能は有料: DeFiやウォレット連携、NFT管理機能など高度な計算機能は有料オプションで提供されています。たとえば、ウォレット/DeFi取引に対応するにはオプション10(年額6,000円)を追加購入し、基本プランと合わせ年間約1万円の費用がかかります。本格的に活用する場合は一定のコストを見込む必要があります。
- 法人・事業利用は別プラン: 個人利用に特化したサービスのため、法人アカウント向けには別途プランが用意されています。個人の確定申告用途には十分ですが、事業所得や法人決算に絡む場合はプラン選択に注意が必要です。
CryptoLinC総評: 初心者が「まずは無料で試してみたい」ときに最適なツールです。日本語対応と簡単な操作性でハードルが低く、少量の取引なら無料範囲内で完結します。料金も他サービスに比べ安価で、取引件数や機能に応じて段階的にアップグレードできる柔軟性があります。一方で海外取引や高度なDeFi運用まで含めると有料プランが前提となるため、中〜上級者には物足りない部分もあるでしょう。とはいえ、まず基本的な現物取引の損益計算をシンプルに行うには十分な機能を備えた信頼できるサービスです。
Gtax(ジータックス)の特徴と評価
Gtax(ジータックス)は株式会社Aerial Partnersが提供する仮想通貨損益計算ソフトで、「仮想通貨の損益計算の決定版」を謳う本格派ツールです。国内外の多数の取引所に対応し、税理士や会計事務所でも業務用に導入されています。より専門的なニーズに応える高機能さが特徴です。
主な特徴・メリット
- 取引所対応数が最多クラス: Gtaxは70以上の取引所・ウォレットに対応しており、国内主要取引所はもちろん、Binanceなど海外取引所や各種ウォレットの取引履歴をまとめて取り込めます。複数プラットフォームで取引している中級者以上には大きな利点です。
- 多様な取引に対応: 現物売買だけでなく、マイニング、エアドロップ、ハードフォーク、レンディング・ボロウイング等の複雑な取引にも対応しています。移動平均法・総平均法の両計算方式をサポートし、税制変更にも自動アップデートで追従します。年間損益の最適化シミュレーター機能もあり、含み損益を踏まえた節税シミュレーションも可能です。
- 専門家も認める信頼性: Gtaxは100箇所以上の会計事務所で導入実績があり、税理士がクライアントの暗号資産申告に利用するケースも多いようです。そのため、税務調査に耐えうる詳細なレポート出力機能も備わっており、計算根拠をしっかり残せます。サポート体制もメール・チャット・電話対応が用意されており安心です。
注意点・デメリット
- 無料プランの上限と機能制限: Gtaxも無料で利用開始できますが、年間取引100件までという上限があります。無料範囲を超える場合や高度な分析が必要な場合は有料プランへの移行が必要です。また無料プランでは利用できない機能やデータ連携も一部あります(※後述のDeFi対応など)。
- 料金プランがやや高額: 個人向け有料プランは年間5,500円(税込)からありますが、取引件数に応じてライトプラン¥16,500(~1000件)、さらに本格利用にはベーシック¥33,000(~30,000件)やプレミアム¥55,000(~500,000件)と上位プランではかなり高額になります。特にDeFi・NFTなどオンチェーン取引のデータ対応はベーシック以上(年3万円超)で提供されるため、そうした高度機能を使うハードルは他のツールより高めです。
- 画面UIが専門的: 機能が豊富な分、画面レイアウトや用語が専門的で初心者にはやや難しく感じる可能性があります。高機能ゆえに操作画面が少し専門的である点は注意が必要です。ただしその分公式サイトやマニュアルでの学習やサポートを活用すれば解決できます。
Gtax総評: 複数の取引所を駆使する中級者以上や、「将来的に税理士と連携することも視野に入れたい」ユーザーに適したプロ志向のツールです。無料枠もありますが本領を発揮するのは有料プラン利用時で、価格相応の高度な分析・レポート機能を享受できます。税務のプロが認める信頼性と柔軟性が最大の強みですが、その代わりコスト面の負担は他ツールより大きめです。初心者が最初に使うにはオーバースペック気味かもしれませんが、取引量が増えた際や専門的な対応が必要になった際には強力な味方となるでしょう。
Cryptact(クリプタクト)の特徴と評価
Cryptact(クリプタクト)は日本のクリプタクト株式会社が提供する老舗の仮想通貨総合プラットフォームです。損益計算ツールとしては国内最大級のシェアを持ち、累計15万人以上のユーザーが利用しています。対応範囲の広さと計算精度の高さで定評があり、上級者や法人利用にも耐えうるサービスです。
主な特徴・メリット
- 国内最大級の対応通貨・取引所: 130以上の国内外取引所に対応し、取り扱い暗号資産は24,000種類以上と桁違いの網羅性です。主要な取引所のAPI連携(30所以上)やウォレット接続機能も備え、取引履歴を自動で取得・統合できます。あらゆるアルトコインや海外取引所、DeFiプラットフォームの取引まで取りこぼさず計算できる点で他を圧倒しています。
- あらゆる取引タイプに対応: 現物売買はもちろん、ステーキング報酬、マイニング収益、ハードフォーク・エアドロップ、NFTの売買、ネットワーク手数料に至るまであらゆる種類の収支イベントを計算可能です。オンチェーン上の複雑なやり取りも含めてサポートしているため、DeFiやNFT取引を積極的に行う上級トレーダーでも安心です。価格データも1分足単位で保持しており、市場変動を細かく反映した精度の高い損益計算ができます。
- 分析・管理機能も充実: Cryptact上ではポートフォリオの時価総額や通貨ごとの損益推移をグラフ表示する機能もあり、自身の資産状況をビジュアルに把握できます。さらに、予定している売買を入力すると税額への影響をシミュレーションできる機能も備わっており、利益確定タイミングの戦略立案にも役立ちます。UIも洗練されており、日本語・英語の切替表示に対応するため海外ユーザーから見ても使いやすい点もメリットです。
注意点・デメリット
- 無料プランの範囲が少ない: Cryptactは取引50件までは無料で利用できますが、51件以上になると損益計算結果が表示されなくなります。少数の取引なら無料枠内で完結しますが、本格的に使う場合は年額6,600円以上の有料プラン加入が前提となるでしょう。無料で使える取引数が他のツールより少ない点は残念ですが、裏を返せば多くのユーザーが有料でも使い続ける価値を感じているとも言えます。
- 料金設定は段階的: 有料プランはベーシック(¥6,600/年〜300件)、プライム(¥22,000/年〜2,000件)、プロ(¥38,500〜¥77,000/年で1万件~無制限)と取引規模に応じて段階的です。大口トレーダーや法人レベルでは他社ツールより割高になるケースもあります。ただ、裏を返せば取引件数無制限プランまで用意されているため、取引量を気にせず使いたいヘビーユーザーには有力な選択肢です。
- 機能が豊富=学習コスト: サービスが多機能なぶん、初心者には全ての機能を使いこなすのが難しい場合があります。しかし基本的な使い方(CSVアップロードで自動計算など)はシンプルなので、まず必要最低限だけ使い、徐々に他機能を活用すると良いでしょう。
Cryptact総評: 「海外取引やDeFiまで含めて徹底的に網羅したい」という上級トレーダーにとってはベストなツールです。対応範囲と計算精度ではトップクラスであり、長年の実績から来る信頼感も大きな強みです。初めての確定申告でいきなりCryptactをフル活用する必要はありませんが、取引が多岐にわたる場合や将来的に海外展開する可能性がある場合、最初から導入してデータを蓄積しておくメリットもあります。無料で試せる取引は50件までなので気軽に大量のデータを試すことはできませんが、少量であればまず試用して操作感を確認してみると良いでしょう。
Cryptact総評: 「海外取引やDeFiまで含めて徹底的に網羅したい」という上級トレーダーにとってはベストなツールです。対応範囲と計算精度ではトップクラスであり、長年の実績から来る信頼感も大きな強みです。初めての確定申告でいきなりCryptactをフル活用する必要はありませんが、取引が多岐にわたる場合や将来的に海外展開する可能性がある場合、最初から導入してデータを蓄積しておくメリットもあります。無料で試せる取引は50件までなので気軽に大量のデータを試すことはできませんが、少量であればまず試用して操作感を確認してみると良いでしょう。
まだ不安な人は:無料の税務相談でプロに質問してみよう
ここまで紹介した計算ツールを使えば、ご自身の取引履歴を集計して損益を計算することができます。それでも「計算結果が合っているか不安」「申告方法に悩んでいる」という方もいるでしょう。そうした場合は、暗号資産専門の税務相談サービスを利用してみるのも一つの手です。
例えば「暗号資産の税金博士」では、仮想通貨に特化した税理士・会計士チームが最新の税制ルールに精通しており、ステーキング報酬やNFT取引、海外取引所の税務処理まで的確にサポートしてくれます。このサービスではLINEで無料相談が可能で、ちょっとした質問から具体的な悩みまで気軽にプロに相談できます。相談だけでも完全無料なので、まずは友だち追加して専門家のアドバイスを聞いてみると安心できるでしょう。
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税金計算ツールで事前に損益を把握しつつ、プロの意見も取り入れれば鬼に金棒です。ご自身に合った方法で確定申告の準備を進めていきましょう。
最後に、仮想通貨の利益申告では「申告しない」という選択肢は最悪の結果を招きかねません。無申告や誤申告には追加の税金や罰則リスクもあります。今回比較したツールや相談サービスを活用し、正確な収支計算と適切な申告で安心して取引を続けましょう。
執筆者情報
筆者:おみつ
職業:システムエンジニア(ETHのマイニング経験あり)
参考資料:国税庁/金融庁/CryptoCPA/Freee/MoneyForward Biz


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