「社員のパスワード管理、どうしてる?」——この質問に即答できる中小企業は少ない。
Verizon DBIR 2025によると、侵害の 22%が盗まれた認証情報 から始まっている。2024年だけで28億件のパスワードが犯罪フォーラムで売買された。Excelで管理している、付箋に書いている、全員が同じパスワードを使い回している——こうした状況は、鍵をかけずにオフィスを出るようなものだ。
この記事では、NordPass Business の機能・料金・競合との違いを解説する。14日間の無料トライアル(カード不要)があるので、読み終わったらすぐに試せる。
中小企業のパスワード管理がなぜ危険なのか
「うちは小さい会社だから狙われない」——これは最も危険な思い込みだ。
IBM Cost of Data Breach 2025によると、認証情報を起点とした侵害は特定・封じ込めまでに平均 246日 かかる。気づいたときには手遅れということだ。しかも漏洩したパスワードのうち、基本的な複雑性要件を満たしていたものは わずか3% (Verizon DBIR 2025)。
中小企業でよく見る「パスワード管理の現実」はこんな感じだ:
- Excelやスプレッドシートで管理 — 暗号化されていない。共有ドライブに置いてあることも
- 付箋やメモ帳に書いている — 物理的に見えるリスク。退職者が持ち出せる
- 全社で同じパスワードを使い回し — 1つ漏れたら全サービスが危険
- 社員が個人のパスワードを業務にも流用 — プライベートの漏洩が会社に波及
まずは自社のパスワードが漏洩していないか、パスワード漏洩の確認方法でチェックしてみてほしい。
これを解決するのがパスワードマネージャーだ。個人向けは無料のものも多いが、企業向けには「管理コンソール」「ポリシー設定」「監査ログ」といった法人機能が必要になる。
NordPass Businessとは
NordPass Business は、NordVPNの開発元であるNord Securityが提供する法人向けパスワードマネージャーだ。個人向けのNordPassとは別製品で、管理コンソール、グループ管理、ポリシー設定などの企業向け機能が搭載されている。
3つのプラン
| Teams | Business | Enterprise | |
|---|---|---|---|
| 料金(2年・月額/ユーザー) | $1.79 | $3.59 | $5.39 |
| 料金(1年・月額/ユーザー) | $1.99 | $3.99 | $5.99 |
| 最低ユーザー数 | 10人パック | 5人 | 5人 |
| 無料トライアル | — | 14日間 | — |
| グループ管理 | × | ○ | ○ |
| パスワードポリシー | × | ○ | ○ |
| データ侵害スキャナー | × | ○ | ○ |
| アクティビティログAPI | × | ○ | ○ |
| Entra ID / Okta SSO | × | × | ○ |
| 自動プロビジョニング | × | × | ○ |
| 専任サクセスマネージャー | × | × | ○ |
Teamsプラン は10ユーザーパック固定で、パスワード共有やMFA保護などの基本機能に限られる。小規模チームのエントリーポイントだ。
Businessプラン が最も人気で、5ユーザーから始められる。グループベースの認証情報共有、パスワード健全性モニタリング、データ侵害スキャナーなど、中小企業に必要な機能が揃っている。14日間の無料トライアル(カード不要)も、このプランだけの特典だ。
Enterpriseプラン はEntra IDやOktaとのSSO連携、自動プロビジョニング、Microsoft Sentinel/Splunk統合など、IT部門がある大組織向けの機能が追加される。
全プラン共通の機能
どのプランでも以下は使える:
- パスワード生成・オートフィル・オートセーブ
- セキュアな認証情報共有
- MFA(多要素認証)保護
- Google Workspace SSO
- 全ユーザーにNordPass Premium個人プランを無料付与
- 24/7ライブサポート
最後の「Premium個人プラン付与」は意外と見落とされがちだが、社員にとっては福利厚生になる。業務アカウントとは別に、個人のパスワードも安全に管理できる。個人向けNordPassの詳細はNordPassレビューで解説している。
NordPass Businessの強み5つ
1. xChaCha20暗号化 — 業界唯一
ほとんどのパスワードマネージャーはAES-256暗号化を使っている。NordPassは xChaCha20-Poly1305 を採用している。これは業界では唯一の選択だ。
| xChaCha20 | AES-256 | |
|---|---|---|
| 採用企業 | NordPass | 1Password, Dashlane, Bitwarden, Keeper |
| 処理速度 | ソフトウェア実装で高速 | ハードウェアアクセラレーション依存 |
| サイドチャネル攻撃耐性 | 高い(タイミング攻撃に強い) | 実装次第でリスクあり |
| ナンス長 | 192bit(衝突リスクが極めて低い) | 96bit(GCMモード) |
実用上、AES-256もxChaCha20も十分に安全だ。ただし、xChaCha20はソフトウェア実装でもパフォーマンスが安定しているため、モバイルデバイスやAESハードウェア非搭載の環境で有利になる。
2. 価格が競合の半額クラス
NordPass Businessは $3.99/ユーザー/月(1年プラン) だ。同等機能の1Password BusinessやDashlane Businessと比べると、約半額の水準にある。詳細は次のセクションで比較する。
3. 14日間無料トライアル(カード不要)
NordPass Businessの無料トライアルは クレジットカード登録不要 で始められる。「試してから決めたい」中小企業にとって、課金リスクなしで全機能を試せるのは大きい。トライアル中は最大250シートまで追加可能なので、本番に近い環境で検証できる。
4. 全社員にPremium個人プランを付与
NordPass Businessを契約すると、全ユーザーに NordPass Premium(個人プラン)が無料で付与 される。業務と個人のパスワードを分離しつつ、どちらも安全に管理できる。
1PasswordのBusinessプランでは「1Password Families(5名分)」が付与されるため、家族向けではそちらが有利だ。ただし、NordPassの個人プランは追加コストなしで全員に付く点が異なる。
5. Nord Securityエコシステム
NordPassは単体でも使えるが、NordVPN(通信暗号化)、NordLocker(ファイル暗号化)、Threat Protection Pro(フィッシング対策)と組み合わせることで、多層防御を構築できる。
すべてNord Securityの製品なので、管理画面の操作感が統一されている。「VPNはA社、パスワード管理はB社、ファイル暗号化はC社」とバラバラに契約するより、運用負荷が低い。
競合5社との比較
法人向けパスワードマネージャーの主要5社を比較する。
| NordPass Business | 1Password Business | Dashlane Business | Bitwarden Teams | Keeper Business | |
|---|---|---|---|---|---|
| 月額/ユーザー(1年) | $3.99 | $7.99 | $8.00 | $4.00 | $3.75 |
| 最低ユーザー数 | 5 | なし | なし | なし | 10 |
| 無料トライアル | 14日(カード不要) | 14日 | 14日 | 7日 | 14日 |
| 暗号化 | xChaCha20 | AES-256 | AES-256 | AES-256 | AES-256 |
| ゼロ知識 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| SSO(Businessプラン) | Google Workspace | Google / Okta / Entra ID | Google / Okta | なし | なし(Enterprise限定) |
| 管理コンソール | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| パスワード健全性 | ○ | Watchtower | ○ | × | ○ |
| 侵害モニタリング | ○ | Watchtower | Dark Web Monitoring | × | BreachWatch |
| 個人プラン付与 | Premium(全員) | Families 5名分 | × | × | × |
| ISO 27001 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| SOC 2 Type 2 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
NordPass Businessが向いているケース
- 社員5〜50人規模の中小企業
- 「まず安価に始めたい」が、セキュリティ認証(ISO 27001/SOC 2)は妥協できない
- NordVPNやNordLockerを既に使っている、または検討している
- IT専任者が少なく、シンプルな管理画面を求めている
他社の方が向いているケース
- Entra ID/Okta SSOが必須 → NordPassではEnterpriseプラン($5.99)が必要。1Password Businessなら$7.99で対応
- オープンソースが条件 → Bitwarden一択
- 家族向け福利厚生を重視 → 1Password BusinessのFamilies 5名分付与
導入の流れと注意点
NordPass Businessの導入は3ステップで完了する。
ステップ1: 無料トライアルに登録
NordPass Business公式サイト から14日間の無料トライアルに登録する。メールアドレスだけで始められる。クレジットカードは不要だ。
ステップ2: 管理コンソールで設定
Admin Panelにログインし、以下を設定する:
- パスワードポリシー — 最低文字数、特殊文字の要件など
- グループ作成 — 部署やプロジェクトごとにグループを分ける
- 共有フォルダ — チームで共有する認証情報をフォルダに整理
ステップ3: 社員を招待
メールアドレスで社員を招待する。招待された社員は:
- NordPassアプリ(デスクトップ/モバイル)をインストール
- ブラウザ拡張(Chrome/Firefox/Safari/Edge/Opera)を追加
- 既存のパスワードをインポート(Chrome、1Password、LastPass等から移行可能)
移行のコツ
- 段階的に導入 — まずITチームや管理職など少人数で試し、運用ルールを固めてから全社展開する
- 既存パスワードのインポート — Chrome、Firefox、1Password、LastPass、Dashlaneなどから一括インポートできる。移行元のデータ削除は全社展開後に
- マスターパスワードの運用 — マスターパスワードを忘れるとNordPass側でもリカバリーできない(ゼロ知識のため)。管理者は社員への説明を忘れずに
どんな企業に向いているか
向いている
- 社員5〜50人の中小企業 — 最低5ユーザーからで過不足ない
- セキュリティ予算が限られている — $3.99/ユーザー/月は1Password/Dashlaneの約半額
- ISO 27001やSOC 2の認証が取引先から求められている — NordPass自体が認証取得済みなので、導入実績として報告できる
- Nord製品を既に使っている — エコシステムの恩恵が大きい
- IT専任者がいない — 管理画面がシンプルで、導入に専門知識が不要
向いていない
- 社員100人以上でEntra ID/Okta SSO必須 — Enterpriseプラン($5.99)が必要になり、価格優位性が薄れる
- オープンソースが社内ポリシー — Bitwardenを選ぶべき
- 既に1Passwordを全社導入済み — 移行コストに見合うメリットがあるか要検討
中小企業向けパスワード管理。14日間無料トライアル
- xChaCha20暗号化・ゼロ知識アーキテクチャ
- ISO 27001 / SOC 2 Type 2認証取得
- 管理コンソールで全社員を一括管理
まとめ
中小企業のパスワード管理は、最もコスパの高いセキュリティ対策だ。
NordPass Businessの強みを振り返る:
- xChaCha20暗号化 — 業界唯一の採用。ソフトウェア実装で高速・安全
- $3.99/ユーザー/月 — 1Password/Dashlaneの約半額
- 14日間無料トライアル — カード不要で全機能を試せる
- ISO 27001 / SOC 2 Type 2 — 取引先への説明に使える認証
- Premium個人プラン付与 — 社員の福利厚生にもなる
「パスワード管理をちゃんとやらないと」と思いつつ先延ばしにしているなら、14日間の無料トライアルから始めてみてほしい。カード登録なし、5分で全社員の招待まで完了する。
中小企業のサイバーセキュリティ対策の全体像については「中小企業のサイバーセキュリティ対策ガイド2026」も参考にしてほしい。