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FFmpegを安全にインストールする完全ガイド【Windows・Mac・Linux】

Windows・Mac・Linuxへのインストール手順を丁寧に解説。環境変数の設定からバージョン確認まで、つまずきポイントを網羅した実践ガイド。

FFmpegは動画・音声処理の世界では欠かせないオープンソースツールだ。YouTube の動画変換から映画の字幕焼き込み、音楽配信サービスのエンコードまで、気づいていないだけで日常的に使われている技術の基盤になっている。

この記事では、Windows・Mac・Linuxそれぞれに FFmpeg を安全にインストールする方法を解説する。インストール後の動作確認と、よくあるトラブルの対処法も含めた実践的な内容だ。

この記事でわかること

  • Windows への FFmpeg インストールと環境変数の設定
  • Mac への Homebrew を使った簡単インストール
  • Linux(Ubuntu/Debian/CentOS/Arch)へのインストール
  • バージョン確認とトラブルシューティング

FFmpeg とは何か

インストールの前に少しだけ背景を。

FFmpegは「FF」(Fast Forward)と「MPEG」に由来するとされるが、公式には略称の定義はない。1990年代後半に Fabrice Bellard 氏が開発し、現在は世界中のエンジニアによってオープンソースで開発が続いている。動画エンコード・デコード・変換・フィルタリング・ストリーミングなど、マルチメディア処理のほぼすべてをカバーする。

Adobe Premiere Pro、VLC、YouTube のバックエンド、Handbrake……これらは全部 FFmpeg の技術を使っている。


Windows に FFmpeg をインストールする方法

Windows へのインストールは、バイナリをダウンロードして環境変数に追加するだけだ。難しくはないが、手順を飛ばすとハマりやすいので丁寧に進めよう。

1. バイナリをダウンロードする

公式サイト(https://ffmpeg.org/download.html)にアクセスして、Windows 用のビルドを選ぶ。

ページの「Get packages & executable files」セクションで Windows のロゴをクリックすると、サードパーティのビルドサイトに飛ぶ。おすすめは gyan.dev が提供するビルドだ。

gyan.dev のサイトで ffmpeg-release-essentials.zip をダウンロードする(essentials は軽量版で、個人利用には十分な内容が入っている)。

2. ZIP ファイルを展開する

ダウンロードした ZIP ファイルを展開する。展開先はどこでもいいが、パスにスペースが入らない場所を選ぼう。

推奨: C:\ffmpeg

展開すると ffmpeg-X.X.X-essentials_build というフォルダができる。その中の bin フォルダに ffmpeg.exeffprobe.exeffplay.exe の3つが入っていれば OK だ。

3. 環境変数を設定する

環境変数の設定が最大のハードルだ。ここを正しく設定しないと、コマンドプロンプトから ffmpeg と打っても「認識されないコマンド」と怒られる。

  1. スタートメニューで「環境変数」と検索し、「システム環境変数の編集」を開く
  2. 右下の「環境変数」ボタンをクリック
  3. 「システム環境変数」の一覧から Path を選択し、「編集」をクリック
  4. 新規」ボタンをクリックして、FFmpeg の bin フォルダのパスを入力する
C:\ffmpeg\bin
  1. すべての OK ボタンをクリックしてダイアログを閉じる

設定後は、コマンドプロンプトを一度閉じて再起動する必要がある。環境変数はプロセス起動時に読み込まれるため、既存のプロンプトには反映されない。

4. インストールを確認する

新しいコマンドプロンプト(または PowerShell)を開いて以下を実行する。

bash
ffmpeg -version

こんな感じの出力が出れば成功だ。

ffmpeg version 7.1 Copyright (c) 2000-2024 the FFmpeg developers
built with gcc 14.2.0 (Rev1, Built by MSYS2 project)
configuration: --enable-gpl --enable-version3 ...
libavutil      59. 39.100 / 59. 39.100
libavcodec     61. 19.100 / 61. 19.100
...

バージョンが確認できない場合

ffmpeg と打っても何も起きない場合は、環境変数の設定を再確認しよう。

よくあるミス:

  • C:\ffmpeg ではなく C:\ffmpeg\bin を設定する必要がある
  • パスの末尾に余計なスペースが入っている
  • コマンドプロンプトを再起動していない

Mac に FFmpeg をインストールする方法

Mac は Homebrew があるので圧倒的に簡単だ。

1. Homebrew をインストールする

Homebrew がまだ入っていない場合は、ターミナルで以下を実行する。

bash
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

途中でパスワードを求められるので、Mac のログインパスワードを入力する。インストールには数分かかることもある。

2. FFmpeg をインストールする

bash
brew install ffmpeg

これだけだ。Homebrew が依存関係を含めて自動でインストールしてくれる。最新の安定版が入る。

インストールが終わったら確認する。

bash
ffmpeg -version

バージョン情報が表示されれば完了だ。

Apple Silicon(M1/M2/M3)について

Apple Silicon 搭載の Mac でも brew install ffmpeg で問題ない。Homebrew が ARM 対応のバイナリを自動で選んでくれる。Rosetta 2 は不要だ。

最新版にアップデートする場合

bash
brew upgrade ffmpeg

Linux に FFmpeg をインストールする方法

Linux はディストリビューションによってコマンドが異なる。それぞれのパッケージマネージャーを使えばすぐにインストールできる。

Ubuntu / Debian

bash
sudo apt update
sudo apt install ffmpeg

インストール後に確認する。

bash
ffmpeg -version

Ubuntu のリポジトリにある FFmpeg はやや古いバージョンが多い。最新版が必要な場合は、ソースからビルドするか、サードパーティの PPA を使う方法がある。

CentOS / RHEL / Rocky Linux

CentOS 7 以前は EPEL リポジトリを追加する必要がある。

bash
# EPEL リポジトリを有効化
sudo yum install epel-release

# RPM Fusion を追加(FFmpeg を含むパッケージ用)
sudo yum install --nogpgcheck https://download1.rpmfusion.org/free/el/rpmfusion-free-release-7.noarch.rpm

sudo yum install ffmpeg

CentOS 8 / Rocky Linux / AlmaLinux の場合は dnf を使う。

bash
sudo dnf install epel-release
sudo dnf install ffmpeg

Arch Linux / Manjaro

bash
sudo pacman -Syu ffmpeg

Arch は常に最新のパッケージを提供しているので、Homebrew と同様に最新版が手に入る。

Fedora

bash
# RPM Fusion を追加
sudo dnf install https://mirrors.rpmfusion.org/free/fedora/rpmfusion-free-release-$(rpm -E %fedora).noarch.rpm

sudo dnf install ffmpeg

インストール確認

どのディストリビューションでも共通。

bash
ffmpeg -version
which ffmpeg

which ffmpeg/usr/bin/ffmpeg のようなパスが表示されれば、正しくインストールされている。


Snap / Flatpak でのインストール(Ubuntu)

Ubuntu では Snap パッケージでもインストールできる。

bash
sudo snap install ffmpeg

ただし、Snap 版は他のアプリからの呼び出しに制限がある場合があるので、開発目的では apt 版を推奨する。


最新版をソースからビルドする(上級者向け)

パッケージマネージャーで提供されるバージョンが古かったり、特定のコーデックを有効にした状態でビルドしたい場合は、ソースからのビルドが必要になる。

Linux(Ubuntu)でのビルド手順の概要:

bash
# 依存パッケージをインストール
sudo apt install build-essential yasm nasm pkg-config libssl-dev

# ソースを取得
git clone https://git.ffmpeg.org/ffmpeg.git
cd ffmpeg

# ビルド設定
./configure --prefix=/usr/local --enable-gpl --enable-libx264

# ビルドとインストール
make -j$(nproc)
sudo make install

詳細なビルド手順や商用再配布向けのカスタムビルドについては、別記事で詳しく解説している。


ffprobe と ffplay も確認しよう

FFmpeg をインストールすると、ffmpeg 以外にも2つのツールが一緒に入る。

ffprobe - 動画・音声ファイルの情報を調べるツール

bash
ffprobe -v quiet -print_format json -show_format input.mp4

ffplay - FFmpeg ベースの軽量な動画プレーヤー

bash
ffplay input.mp4

これらも使えるか確認しておくと、後で役立つ。


まとめ

FFmpeg のインストール方法を OS 別にまとめると:

  • Windows: 公式サイトからバイナリをダウンロード → C:\ffmpeg に展開 → 環境変数 Path に C:\ffmpeg\bin を追加
  • Mac: brew install ffmpeg(Homebrew 経由が最も簡単)
  • Linux: aptyumpacman などのパッケージマネージャーを使う

インストール後は ffmpeg -version でバージョンが表示されれば OK だ。

次のステップとして、FFmpeg の基本的な使い方(動画変換・音声抽出・クリッピングなど)を別の記事で解説しているので、あわせて読んでみてほしい。