FFmpegは動画・音声処理のオープンソースツールだ。YouTube のトランスコード、VLC の再生エンジン、Handbrake、Adobe Premiere Pro……気づいていないだけで、あなたが普段使っているサービスの裏側で動いている。
この記事では、Windows・Mac・Linux それぞれに FFmpeg 8.0(2025年8月リリースの最新メジャーバージョン)を安全にインストールする方法を解説する。
この記事でわかること
- Windows への FFmpeg インストール(winget / 手動の2通り)
- Mac への Homebrew を使ったインストール
- Linux(Ubuntu / Fedora / Rocky / Arch)へのインストール
- バージョン確認とよくあるトラブルの対処法
FFmpegとは
FFmpeg は「FF」(Fast Forward)と「MPEG」に由来するとされるが、公式には略称の定義はない。1990年代後半に Fabrice Bellard 氏が開発を始め、現在は世界中のエンジニアがオープンソースで開発を続けている。
動画のエンコード・デコード・変換・フィルタリング・ストリーミングなど、マルチメディア処理のほぼすべてをカバーする。
インストールすると、以下の3つのコマンドラインツールが使えるようになる。
| ツール | 用途 |
|---|---|
ffmpeg | 動画・音声の変換・エンコード・フィルタ処理 |
ffprobe | メディアファイルの情報(コーデック、解像度、ビットレートなど)を表示 |
ffplay | FFmpeg ベースの軽量メディアプレーヤー |
FFmpegをインストールする
OS ごとにタブを切り替えて、自分の環境に合った手順を確認しよう。
Windows では winget(Windows パッケージマネージャー)を使う方法が最も簡単だ。Windows 10 (1709以降) / Windows 11 に標準搭載されている。
方法1: winget でインストール(推奨)
PowerShell またはコマンドプロンプトを 管理者として 開き、以下を実行する。
winget install -e --id Gyan.FFmpeg
これだけで、ダウンロード・展開・PATH 設定まで自動で完了する。インストール後はターミナルを再起動して ffmpeg -version で確認しよう。
方法2: 手動でインストール
winget が使えない環境(古い Windows や、winget を無効化している組織 PC など)では、手動でインストールする。
1. バイナリをダウンロードする
FFmpeg 公式ダウンロードページ にアクセスし、Windows ロゴをクリックする。リンク先のビルドサイトは2つある。
| ビルドサイト | 特徴 | 対応OS |
|---|---|---|
| gyan.dev(推奨) | 更新頻度が高く、誤検知が少ない | Essentials: Windows 7+ / Full: Windows 10+ |
| BtbN (GitHub) | MinGW ビルド。Linux 版もあり | Windows 10 22H2 以上 |
gyan.dev のサイトで ffmpeg-release-essentials.zip をダウンロードする。
2. ZIP ファイルを展開する
展開先はパスにスペースが入らない場所を選ぶ。
C:\ffmpeg
展開後、bin フォルダに ffmpeg.exe、ffprobe.exe、ffplay.exe の3つがあれば OK だ。
3. 環境変数 PATH を設定する
- スタートメニューで「環境変数」と検索し、「システム環境変数の編集」を開く
- 右下の「環境変数」ボタンをクリック
- 「システム環境変数」の一覧から Path を選択し、「編集」をクリック
- 「新規」をクリックして以下を入力する
C:\ffmpeg\bin
- すべての OK ボタンをクリックしてダイアログを閉じる
- コマンドプロンプトまたは PowerShell を 新しく開き直す
インストールの確認
OS に関係なく、以下のコマンドで正しくインストールされたか確認できる。
ffmpeg -version
こんな出力が出れば成功だ。
ffmpeg version 8.0 Copyright (c) 2000-2025 the FFmpeg developers
built with gcc 14.2.0
configuration: --enable-gpl --enable-version3 ...
libavutil 60. x.100 / 60. x.100
libavcodec 62. x.100 / 62. x.100
ffprobe と ffplay も一緒にインストールされているので、確認しておこう。
ffprobe -version
ffplay -version
ffprobe の使用例
動画ファイルの情報を JSON 形式で確認する。
ffprobe -v quiet -print_format json -show_format -show_streams input.mp4
コーデック、解像度、ビットレート、再生時間などが一覧で表示される。エンコードの問題を調べるときに重宝する。
ソースからビルドする(上級者向け)
パッケージマネージャーで提供されるバージョンが古い場合や、特定のコーデックを有効にしたい場合はソースからビルドする。
WSL(Windows Subsystem for Linux) を使っている場合は、Linux タブの手順がそのまま使える。WSL 環境なら依存パッケージの管理も apt で完結するので、最も手軽だ。
ネイティブ Windows バイナリが必要な場合は MSYS2 を使う方法もある。gyan.dev の公式ビルドも MSYS2 で作られている。msys2.org からインストールし、MINGW64 シェルで以下を実行する。
pacman -Syu
pacman -S mingw-w64-x86_64-gcc mingw-w64-x86_64-yasm mingw-w64-x86_64-nasm \
mingw-w64-x86_64-pkg-config mingw-w64-x86_64-libx264 mingw-w64-x86_64-libx265
git clone https://git.ffmpeg.org/ffmpeg.git
cd ffmpeg
git checkout n8.0.1
./configure --prefix=/usr/local \
--enable-gpl --enable-libx264 --enable-libx265
make -j$(nproc)
make install
商用利用での再配布向けカスタムビルドについては、別記事で詳しく解説している。
- FFmpeg 商用ライセンスガイド — GPL / LGPL の違い、再配布時の注意点
よくあるトラブルと対処法
「ffmpeg は認識されていません」(Windows)
PATH の設定ミスが原因であることがほとんどだ。
| 原因 | 対処法 |
|---|---|
C:\ffmpeg を PATH に追加した | C:\ffmpeg\bin に修正する |
| パスの末尾にスペースが入っている | スペースを削除する |
| ターミナルを再起動していない | 新しいターミナルを開く |
| ユーザー環境変数ではなくシステム環境変数に追加していない | システム環境変数の Path に追加する |
バージョンが古い(Linux)
Ubuntu のデフォルトリポジトリは FFmpeg のバージョンが遅れがちだ。最新版が必要なら以下の選択肢がある。
- ソースからビルドする — 上のセクションを参照
- Snap でインストールする —
sudo snap install ffmpeg(ただし他アプリからの呼び出しに制限がある場合がある) - サードパーティ PPA を使う —
ppa:ubuntuhandbook1/ffmpegなど
複数バージョンが競合する(Mac / Linux)
which ffmpeg
このコマンドで FFmpeg のパスを確認する。/usr/local/bin/ffmpeg と /usr/bin/ffmpeg が両方ある場合、PATH の優先順位で先に見つかるほうが使われる。不要なほうを削除するか、フルパスで指定して使い分ける。
まとめ
FFmpeg のインストールは、どの OS でもパッケージマネージャーを使えば数分で終わる。
| OS | 推奨コマンド |
|---|---|
| Windows | winget install -e --id Gyan.FFmpeg |
| Mac | brew install ffmpeg |
| Ubuntu / Debian | sudo apt install ffmpeg |
| Fedora | RPM Fusion 追加後 sudo dnf install ffmpeg |
| Arch Linux | sudo pacman -S ffmpeg |
インストール後は ffmpeg -version でバージョンが表示されれば OK だ。
FFmpeg の基本的な使い方(動画変換・音声抽出・クリッピングなど)や、GPU エンコードで処理速度を大幅に短縮する方法も確認してみてほしい。