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Vercel vs Netlify vs Cloudflare Pages 本当の違い

Vercel・Netlify・Cloudflare Pagesの料金・Next.jsサポート・帯域・DDoS対策を正確な公式価格で比較。月間PV別のコストシミュレーションも掲載。

13 min read
VercelNetlifyCloudflare PagesNext.jshosting比較

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目次

「Vercelが高い」「Netlifyはオワコン」「Cloudflareが最強」——Redditではこういう極論が飛び交う。でも実際にどれが正解かは、プロジェクトの規模と要件で変わる。

この記事では、Vercel・Netlify・Cloudflare Pagesの3プラットフォームを 公式価格と公式ドキュメント に基づいて比較する。「なんとなく高い」ではなく、月間PV別の具体的なコストシミュレーションで判断材料を出す。


3プラットフォームの立ち位置

まず根本的な違いを押さえておく。この3社は同じ「ホスティング」でも、出自と思想がまったく異なる。

Vercel — Next.jsの開発元。Next.jsのすべての機能がVercel上で最も正確に動く。App Router、ISR、Middleware、PPR(Partial Prerendering)のような最新機能は、Vercelで最初にサポートされる。その代わり、従量課金モデルがアグレッシブで、帯域超過や関数実行で予想外の請求が来ることがある。

Netlify — JAMstackの先駆者。2015年からの歴史があり、Hugo・Gatsby・Astroなどの静的サイトジェネレーターとの相性が良い。2025年9月にクレジットベースの課金に移行した。Next.jsサポートはOpenNextアダプター経由で、Vercelより一歩遅れる。

Cloudflare Pages — インフラ企業のホスティングサービス。世界330拠点以上のCDNネットワークが最大の強み。帯域が全プランで無制限・無料 というのは他の2社にない圧倒的な優位点。ただしNext.jsサポートはまだ発展途上で、完全なファーストクラスではない。


料金比較:無料枠と従量課金

Vercel

Hobby(無料)Pro($20/月)
帯域100 GB/月1 TB/月
超過帯域サイト停止$0.15/GB
Function Invocations100万/月100万/月(超過 $0.60/100万)
Fluid Active CPU4時間/月$20クレジットで相殺(超過 $0.128/時間〜)
商用利用不可
月次クレジット$20

Proの$20は固定費ではなく プラットフォーム利用料 + $20クレジット だ。クレジットを使い切ると従量課金に切り替わる。

Netlify

2025年9月にクレジットベース課金に移行した。

FreePersonal($9/月)Pro($20/メンバー/月)
月次クレジット3001,0003,000/チーム
商用利用

クレジットの消費レート:

  • デプロイ: 15 credits/回
  • 帯域: 10 credits/GB
  • Compute: 5 credits/GB-hour
  • リクエスト: 3 credits/1万リクエスト

Cloudflare Pages + Workers

FreePaid($5/月〜)
帯域無制限無制限
静的リクエスト無制限無制限
Workers リクエスト10万/日1,000万/月(超過 $0.30/100万)
CPU時間10ms/呼び出し3,000万ms/月(超過 $0.02/100万ms)
ビルド500回/月5,000回/月(Pages Pro $20/月)
商用利用

帯域が無制限・無料。 これがCloudflareの最大の差別化ポイントだ。Vercelでは1TBを超えると$0.15/GBが発生し、Netlifyではクレジットを消費する。Cloudflareではどれだけトラフィックが来ても帯域コストはゼロ。


Next.jsサポートの現実

3社のNext.jsサポートには明確な差がある。

機能VercelNetlifyCloudflare
App RouterネイティブOpenNext経由OpenNext / Vinext(実験的)
SSR完全対応対応(Workers上)
ISR完全対応対応(KV caching)
Middleware完全対応対応
PPR完全実験的未確認
Image Optimizationネイティブ追加設定が必要対応(制限あり)
generateStaticParams完全対応Vinextでは未対応

Vercelが唯一のファーストクラスサポート。 Next.jsの新機能はVercelで最初に動き、Netlify/CloudflareはOpenNextアダプター経由で追従する。Next.jsのメジャーアップデート直後は、Netlify/Cloudflareで動かないケースがある。

Next.js以外のフレームワーク

Astro、Nuxt、SvelteKit、Remixなどを使うなら、3社ともほぼ同等にサポートしている。Next.jsへの依存度が低いプロジェクトでは、Cloudflareの帯域無料やNetlifyのForms機能が差別化になる。


帯域・DDoS・セキュリティ

帯域コスト

Vercel ProNetlify ProCloudflare Paid
含まれる帯域1 TB/月クレジット制無制限
100GB超過時$15クレジット消費$0
500GB超過時$75クレジット消費$0
1TB超過時従量課金開始クレジット消費$0

帯域コストでは Cloudflareが圧勝 する。画像が多いサイト、動画を埋め込むサイト、グローバルにトラフィックがあるサイトでは、この差が月額数十ドルの違いになる。

DDoS対策

VercelNetlifyCloudflare
自動DDoS軽減あり(全プラン)あり(全プラン)あり(全プラン、330+拠点
WAFEnterpriseEnterpriseあり(全プラン)
Attack Challenge Modeありあり
エッジ拠点数数十箇所数十箇所330箇所以上

Cloudflareはインフラ企業だけあって、DDoS対策は業界最強クラスだ。Vercel/Netlifyも基本的な保護は全プランで提供しているが、規模と拠点数で差がある。

実際に起きた事例:

  • Netlify $104K事件(2024年2月): 大量のファイルダウンロードで帯域が爆発し、$104,500の請求が発生。CEOがHacker Newsで全額免除を発表した
  • Vercel Cara事件: アプリがバイラル化し、Vercel Functionsの請求が約$96,000に達した
  • 僕のサイト: Vercel HobbyプランでFluid Active CPUの4時間/月に到達。ボットが存在しないURLを叩いてSSRが走ったのが主因

Cloudflareでは帯域が無制限のため、DDoSでの帯域爆発→高額請求のシナリオが構造的に起きない。


月間PV別コストシミュレーション

公式価格をもとに、Next.jsの静的サイト(1ページあたり約1MB)を想定して計算する。

前提条件:

  • 静的生成がメイン(SSRは最小限)
  • Middleware使用(next-intl等のi18n)
  • 1ページあたりの転送量: 約1MB
  • Function Invocations: PVの1.5倍(Middleware + API Route)

月間1万PV(個人ブログ)

VercelNetlifyCloudflare
帯域消費~10 GB~10 GB~10 GB
プランHobby(無料)※非商用のみFree(無料)Free(無料)
月額$0$0$0
商用ならPro $20Free $0Free $0

1万PVなら3社とも無料枠に収まる。ただしVercelは商用利用ならPro必須。

月間10万PV(成長中のメディア)

Vercel ProNetlify ProCloudflare Paid
帯域消費~100 GB~100 GB~100 GB
Function Invocations~15万/月クレジット制~15万/月
月額$20(クレジット内)$20$5
帯域超過なし(1TB内)クレジット消費なし(無制限)

Cloudflareが最安。Vercel/Netlifyはほぼ同額だが、Vercelの方がNext.jsサポートが手厚い。

月間100万PV(大規模サイト)

Vercel ProNetlify ProCloudflare Paid
帯域消費~1 TB~1 TB~1 TB
帯域超過コスト$0(ギリギリ1TB内)クレジット大量消費$0(無制限)
Function Invocations~150万/月クレジット制~150万/月
超過Function$0.30(50万×$0.60/100万)クレジット消費$0(1,000万内)
推定月額$20〜40$20+追加クレジット購入$5

100万PVでもCloudflareは$5で済む。Vercelは帯域がギリギリで、少しでも超えると$0.15/GBが加算される。Netlifyはクレジット不足で追加購入が必要になる可能性が高い。


どれを選ぶべきか

Vercelを選ぶべきケース

  • Next.jsの最新機能を使いたい(PPR、Server Actions等)
  • git pushだけでデプロイしたい(DX最優先)
  • チーム開発でプレビューデプロイを多用する
  • 月間100万PV以下で、Spend Managementを正しく設定できる

Netlifyを選ぶべきケース

  • Astro/Hugo/Gatsbyなどの静的サイト がメイン
  • Formsやidentity等の組み込み機能を使いたい
  • 無料プランで商用利用したい(Vercel Hobbyは不可)
  • Next.jsの高度な機能(PPR等)を使わない

Cloudflare Pagesを選ぶべきケース

  • 帯域コストをゼロにしたい
  • 画像が多い、または月間PVが大きいサイト
  • DDoS対策を最強レベルにしたい
  • Next.jsの基本機能(App Router + SSR + ISR)で十分

VPSを選ぶべきケース

上記3社はすべて従量課金要素がある。完全に固定費で運用したいなら、さくらのVPSXServer VPS でのセルフホストが選択肢になる。月額¥500〜で帯域制限なし。ただしインフラ管理は自分でやる必要がある。詳しくはCoolify + VPSでNext.jsをセルフホストする全手順を参考にしてほしい。

さくらのVPS

老舗の安定感。エンコード用途にも使える国内VPS

  • 2GBプラン 月額1,594円〜(石狩)
  • 東京・大阪・石狩の3リージョン
  • SSD 100GB・仮想3コア
XServer VPS

国内シェアNo.1のエックスサーバーが提供する高性能VPS

  • NVMe SSD・AMD EPYC搭載の高速サーバー
  • 2GBプラン 月額990円〜(3コア / 50GB SSD)
  • 初期費用無料

まとめ

観点VercelNetlifyCloudflare
Next.jsサポート最強OpenNext経由発展途上
帯域コスト$0.15/GB超過クレジット制無料
無料枠の商用利用不可
DDoS対策良い良い最強
月額(10万PV)$20$20$5
DX(開発体験)最高良い良い

「どれが最強か」ではなく「自分のプロジェクトに何が必要か」で選ぶ。Next.jsの最新機能とDXならVercel、コスト最優先ならCloudflare、静的サイト + 組み込み機能ならNetlify。

従量課金プラットフォームのコスト構造を深く理解したい場合はエッジコンピューティングのコスト構造比較も参考になる。

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